
BOUYERというメーカーについてはよくわかっていません。
今でも音響機器を製造している1933年創業のメーカーです。
業務用機器が多いようですが、初期の頃からそうだったのかもしれません。
古い製品も含め、コンシュマー用は見たことがないからです。
このマイクの中のカプセルはもしかすると他国のOEMの可能性があります。
当時のBOUYERにはそういう製品もあったからですが、音を聴いた感じでは、もしフランスでなければデンマーク製だったのか、そういう雰囲気です。
通常、MELODIUMにはマイクの全面にそう書いてあるのですが、この個体にはありませんので、おそらく初期のものだと思われます。
1930年代以降の、演壇に取り付けるとか、主には放送、そういう用途のマイクです。
それで、普通、こういうものは、音楽には使いません。
しかし、作りがあまりにも立派で、現代の大量生産時代からは考えられない外観ですので、
そこに惹かれて試しに使ってみたところ、恐るべきパフォーマンスを備えていることがわかったので、
このコーナーに登場することになったものです。
このマイクは、人類がテクノロジーの代償に失ったものがどれだけ多いかを考えさせます。
巷で”癒し系”なる、造語のような言葉が出てきましたが、それは世の中で癒しが欠けてきたからであって、
人々が進んで手に入れようとアクションを起こさなければ癒されなくなっているわけですが、
そういう状況が想像すらできなかった時代の、癒しが当たり前だった時代の本物の音がここにはあります。
音響機器の開発にコストを考えなくても良かった時代の
音の魔力に取り憑かれた男たちが作りあげた情熱の結晶のようなマイクです。
注:29年の世界大恐慌は、39年の大戦へとつながってゆき、不穏な時代だったのですが、
娯楽の少ない当時、トーキー映画が大流行し、生活苦のうさを晴らしました。
(上の説明と矛盾するような・・いえいえ、意味が違います。)
そのため、資金が潤沢な映画配給会社は、当時の音響機器メーカー3社、
米WE,米RCA,独クラングフィルムに対し、巨額の費用を投じました。
コストは問題にならず、とにかく最高のものが求められました。
当時の製品は、現代でも価値が変わらず、高額で取引され、
デジタル・ソースを鳴らし切ってマニアを唸らせています。
ということで、これを使った二胡の録音ですが、魅力的には録れるのですけれども、
音を自然ではあっても、加工した別の音という感じは多少あるかもしれません。
二胡の録音を魅力的な音にするために、後で編集加工するなら、最初から
これを使っておけば、変に作り込んだ感じが無く、うまく仕上がるかもしれません。
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