盲目の演奏家群

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盲目の演奏家群


路上の二胡拉き  盲人というのは視覚が無いと言うことですが、それゆえに有視覚者には見えないものが "見える" ことがあるのかもしれません。そう感じさせるのは、彼らの二胡演奏を聴いた時です。活動の記録が残っている盲人二胡演奏家としては、阿炳,孙文明などが挙げられますが、いずれも優れた作曲家として名を残しています。彼らの作品は、描写音楽ですら構成が堅固で音楽そのものとしての質の高さがあり、重みが失われる部分というのが一切ありません。これは現代の盲人二胡演奏家の作品についても言えます。ここで紹介する作品には、題名がおそらくありません。演奏者のオリジナルと思われる作品で、強い説得力を持っているにも拘わらず、多くの人の注目を集めることはありません。人は視覚に影響を受けるから? (注:しかし、写真のお父さんはどちらかというと格好が良い方と思われます。この方は盲人ではなかったです。)道を往く人々は立ち止まることがほとんどないので、彼らの演奏を数秒しか聴かないことになります。しかも、"聴かされている"演奏のなので関心を払いません。それでも、心を捉えることができなければ、幾らかの小銭を落としていくこともありません。公安に追われつつも、生きていくために各地で出没しては演奏を続ける困難の中で練り上げられた音楽は、非常に強い求心力を備えています。優れた作品が多く、演奏会で使えるようなレベルの物が普通に存在します。これらをここで可能な限り記録に留め、できれば採譜も行いたいと思います。

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09.01.26 - 五道口

  五道口というのは、北京大学、精華大学などの"門前町"という雰囲気の場所です。外国料理店が軒を連ね、多くの学生が行き交っています。そのため、この界隈は盲目の演奏家が出没しやすいスポットです。この方は、曲を拉いているのでしょうか?たぶん、適当に拉いているだけでしょう。

09.05.21 - 新街口

  春の暑かった日に2人の盲人が付き添いを伴い、演奏して通りを通過しています。見事な演奏です。響きが魔術的です。一般に見かけない左のラッパは、祭祀に用いられていたものかもしれません。

10.03.02 - 五道口

  この演奏家は椰胡を使っています。演奏曲は、西安の北方の秦腔に近い戯劇で郿鄠(ミーフー)というのがありますが、その風格で演奏していますので、おそらくそちらの出身の方だと思われます。作品は、拉弦楽器の無伴奏曲としては非常に優秀、組曲としても完成されており、技巧は高難度です。
  
10.03.09 - 祟文門

  この場所は北京駅から近く、人通りが絶えない繁華街です。この奏者の特徴的な点は、右手に弓を持って二胡を拉きつつ、その右手に书板という2枚の板を打ち鳴らす打楽器も同時に持っているあたりです。私がずっと立ち止まっているのを気配で察したこの奏者は、慌てながら道ばたに置いた缶を手探りで拾い「谢谢」を連呼しながら立ち去ろうとしています。すでに何度も奪われたり追われてきたのだと推察できます。

二胡を演奏する盲人 11.04.04 - 阜城門
  万通新世界より地下鉄へ下って行く途中の踊り場で演奏しています。音がよく響くのでなかなか良い場所です。単純な音型を繰り返すのみですが、情感豊かで変化の感じられる演奏です。左手は写真の位置から動きません。