ご質問(二胡の扱いについて)1

二胡絹弦の販売 - 弦堂


弦堂(絹弦) > ご質問 > 二胡の扱い1


どんな弓を選んだらいいでしょうか?


二胡弓・紅竹と湘妃竹(香妃竹) まず、毛からですが、白毛が良いとされています。
しかし、白毛は生産量が非常に少ないので、普通は栗色の毛が使われています。
黒毛もありますが、これは主に京胡やコントラバスで使用されます。

最高級の毛は、昔はイタリア産のもので良いものがありましたが、この種は欧州では絶滅しており、その前に北海道に輸出された後裔が残っていますので、これを以て最高級としているようです。(現在は、逆輸入された模様)
プロのバイオリニスト用のものです。
一般には、モンゴル(中国産は、内モンゴル)産の毛が使われています。
これも、限定的な産地のものは高額です。
他にも、甘粛、西蔵、欧州各国、カナダなどで、良毛を産出しています。
二胡用として販売されているものは安価な栗毛ですが、これを以て白毛として扱うことにしているようです。

毛は、死んだ馬からしか採れません。
もし、生きた馬から毛を切ってしまうと害虫をしっぽで払えませんので病気になるからです。

竹材の最高のものは、湘妃竹(香妃竹)という、かつては洞庭湖畔でのみ生育する白地に紫の斑点のある美しい竹です。
しかし、その生産量は少なく、細身の条件の良い竹はほとんど手に入りませんので、珍重されています。
最近は、福建、広東で養殖されています。
節が多いのが特徴で、たいていは、2節あります。

紅竹、鳳尾竹(しのたけ)というものも、使われています。
写真の右は湘妃竹(香妃竹)・潘栄亮、左は紅竹・王小辿です。

弓の先端に目を移しますと、毛を留めておく結び目があります。
この結び目はたいてい、2つあります。
毛は、馬のしっぽの付け根から先の方まで状態が一定ではありません。
そのため、上げ弓、下げ弓で条件が変わってしまいます。
これを避けるために、用いる毛を半分に分け、天地を逆にしているのです。
固定している結び目を良く見ると、大きさは揃っていますが、毛の状態は左右で少し違う場合があります。
これは、高級品の1つの条件です。
安価なものは、手間を省くため、このようになっていません。
写真の例は、王小辿のものです。

弓の先の結び目 弓の手元では、魚の形をしたパーツで毛を固定し、弓の先には竜頭があって、これを留めています。
多くの場合は、プラスチックを使いますが、牛骨を使う高級品もあります。
その中には、象嵌細工があしらわれているものもあります。

弓の選択基準は、人の体格や個性によって違いますので一概には言えません。
いろいろなものを一度に買って試してみるというのもたいへんですので、まず最初に楽器に付属しているものを基準にして、次に弓を交換するときに今までのものと別のものを使ってみて比較するという方法が一般的だと思います。
しかし、安価なものは品質にばらつきがあり、通販などでは、どんなものが到着するかわからないというリスクもあります。
(この懸念は販売店も承知しており、どこも細心の努力を払っていますから、あまり神経質になりすぎなければ問題ありません。小店でも実際に他店に発注して調査しましたが、これまで問題があったことはありませんでした。)
高級品でも、素材に天然のものを使っている以上、以前と全く同じものが手に出来るということはないと考えておくべきです。
素材の素性を見て、それに合わせて加工しますから、基本的に同じものは、ないと考えていいと思います。
それで、気にいったものがあれば、毛の交換をするという方法があります。

もし、開放弦で耳障りな音が鳴るとか、どうしても雑音がらみだという場合は、
開放弦で異音を発するのですが、どうしたらいいですか?
雑音を抑えるには、どうしたらいいですか?
このあたりをご参照いただき、それでも直らない場合があります。
少し太い弓に換えると直ります。

一方、高域が出ない楽器の場合は、細い弓に換えるとバランス良く、全帯域で鳴り出します。
琴馬を換えるよりも劇的な効果があります。
これは雑音と高域成分のどちらかか両方で、内部の反響が変に混じるか、うまくブレンドするかの違いで問題が出るか、或いは綺麗に響くかの違いが出るのだと思います。
上手な人が拉くと、何で擦っても雑音が出ませんが、 上手な人は握り方でうまく余計な反響を押さえ込むのだと思います。
素材の相性が良ければ、適当に弾いても、雑音は出ません。

私はある時、北京で最も高級なバイオリン店を訪問し、すでに先客がいたので見ていたのですが、弓を量りに載せて重さを測定していました。
もちろん、各弓で大きな違いはありませんから、グラム単位で細かく吟味していたのです。
二胡弓の竹は天然素材なので、太さをうんぬんするのは誤差が大きすぎて意味が無く、1つの弓でも箇所によって太さはバラバラですから、二胡弓も、量りに載せるのをまねした方がいいと思えます。
二胡も、個体差があるので、弓の重量も色々あって良く、相性のいい範囲というのがあるはずだと思えます。
相性の良い範囲とは、弓と二胡の内部反響が戦わず融和して、むしろ高めてゆくことのできる範囲です。
重さと質量プラス内部空間の面積は、比例しないので、厳密な測定は意味がありませんが、基本的に二胡弓もグラム単位で計った方が良さそうということで、一応の結論としておきたいと思います。
名手は、竹を削るとか? そういう話すら聞いたことがあります。

そこで、相性の悪い組み合わせをわざと作り、上手な演奏家の方々に、「これはなかなかいいと思うが・・」などと言いながら渡し、演奏させてみるということを複数の人に実験しました。
そうすると開始時は狂いますが、すぐに修正し美音を響かせ、そのまま演奏をしばらく続けます。
終わると、楽器を眺めて、「これは演奏が難しいですね」などとおっしゃる場合が多いです。
録音を採って後で分析すると、無理しているためなのか、抑揚が乏しく、頑張って音を絞り出している印象があります。

結論としては、練習を積めば、綺麗な音で演奏できるようにはなる、しかし、"音楽"を演奏する場合は、楽器の面倒のちゃんと見ないといけない、ということだろうと思います。