二胡絹弦の販売 - 弦堂
この質問コーナー、皆様からいただきましたご質問を参考に製作していますが、この質問は非二胡関係者から多いです。
質問されるならまだいいです。
私は関西人ではありませんので、他人に「アホか?」などと気軽に言いませんが、住んでいる地域が関西なので、この件に関して知人らから言われることはあります。
その発言の是非についてはともかく、的を突いた見解であるのは間違いなく、苦笑を禁じ得ないような状況です。
なぜ、絹弦なんて売るのだろう、売れないのではないかと思われても不思議ではありません。
ここでは、皆様がご質問しにくい、弦堂の背景をご説明させていただこうと思います。
私は、弦堂は3ヶ月持ちこたえたら成功だと考えていました。
それで、それ以降はどうするか、という基準でショップを製作していました。
絹弦は、私が個人でストックしますし、売れなくても運営経費がほとんどかからないので、閉店する必要はないだろうとも思っていました。
ショップをアップするレンタルサーバは、別のサイトで有料のところを確保していたので、それを使ったのですが、そうであれば、年間少額の経費はかかっていることになります。
それで、広告をいろんなところに貼っていますが、これの収益で黒字として、それで良い、と見なしていました。
絹弦は、時代と共になくなりつつある文化遺産なので、延命処置を講ずるために、日本への販路を広げる貢献ができればよいという考えでした。
この質問コーナーは、絹弦の知識を少量ながら提供するためだけにあり、それ以外は扱うつもりがない、という方針でいいのではないかと思っていました。
私は中国で二胡を始めたのですが、二胡だけでなく、語学も初心者でした。
それで、中国人老師からの詳細の学習は困難だったので、帰国時にわからないところをネットで詳しい方がいるなら、色々ご教示いただこうと思っていました。
(当時は、ネットの環境が悪かったので、中国でこれができなかったのです。)
ところが、情報といえば、答えのない、或いはいい加減というと失礼ですが回答になっていないようなコメントがついた質問ばかりに直面し、どうしようもないので、いつもこういう時に訪問する、マニアのたまり場のようになっているmixiに情報捜索に行きました。
ここでは質の高いコンテンツが多いので、だいじょうぶだろうと思っていたのですが、期待は裏切られ、「一体どうなっているのだろう。日本は中国人老師が多かったはずだが・・」と思っていました。
そこで、中国サイトに行って情報収集しますと、多くのことがわかってきました。
それでも、私は自分が情報提供者になることは考えていませんでした。
全く、念頭にすらなかった状態でした。
弦堂は、すぐに注文が入ってきて、多くの方に絹弦を使っていただきましたが、この方々の一部の方が私を老人のベテランと勘違いし、いろんな質問を下さるようになりました。
ふしぎだったのは最初に大抵「私は・・老師に習っているものですが、」と言って、私に質問することです。
私に質問いただくのは構いません。
しかし、その方々は、有料で老師を雇っているわけです。
それは、なぜなのか・・わからないことがあるからではないでしょうか?
老師に質問しても意味がないので、私に質問するのです。
とりあえず、私は中国と連絡を取り、なんとか答えていました。
しかし、ご質問には傾向があり、似たようなものが多くありました。
しかも、すごく多くて、最初の頃は、メールを送信していく作業で丸一日かかったこともあります。
それで、これではたいへんなので、質問コーナーを拡大してしのぐことで対応しました。
この経験から「二胡はまだ文化的に育っていない」と思うようになり、新しいサービスとか情報を提供している方々を支援する方向にも廻った方が良さそうだと考えるようになりました。
これを怠ると、多くの進取の気性に富んだ人材を失うことになり、文化が育ちません。
しかし、リンクなどの活動はかなりたいへんで、時々少しずつ拡大するので精一杯です。
村山工房さんの商品を扱うようになったのもこの頃で、村山さんはショップがないのでオークションで販売していました。
それで私が「うちのスペースを使って販売されますか?」と話を持ちかけますと、卸していただけるということになり、今でも継続しています。
他にも幾つかありましたが、私がオファーしますと、どうしてこういうことをするのだろうと怪しまれたりして、なかなか実際の提携にまで発展したことはないです。
この活動については、一部の中国人から不評で、「いかにも中国人が何も努力していないかのようにいろいろやっている」などとお叱りを受けるようなこともありましたが、この反応は皮肉にも、日本の二胡関係の現状をよく表していると思います。
中国人は、巨大帝国(現在は一党体制)の民であり、国家が歴史的に強力な力を近隣諸国に対しても及ぼしていたので、脅威というものが周辺国の民族に比べて極端に少なく、そのため、気質はおおらかです。
一人っ子も非常に多く、大切に育てられてきたので、性格の歪んだ人は少ないです。
それで、この性格で日本などに来ますと、強烈な競争とストレスの社会で、とうてい対応困難です。
差別意識とか、排他的な考えもある中で生きていこうと思えば、必死に食い下がろうと考えるのも無理はありません。
日本で中国人の一般的評価が低いのは、こういう背景があると思います。
何とか外国で成功するために、二胡を利用した人もいると思います。
こういう方々にとっては、弦堂の活動は好ましくありませんが、これはしょうがないと思います。
しかし、私が交流させていただいている日本の中国人の方々や、その他、大部分はそういうことはありません。
それで、人数が増えてきて、人材が豊かになると変わっていくと思います。
商業的に教室など運営する場合は、生徒が長期に無知でいる方が都合がいいです。
日本の伝統芸能では、非常に金銭がかかり、「まだ早い」などと言われ、簡単に教えて貰えません。
この優れた集金システムと、とりわけ実績がなくても自分を偉い先生に創り上げていく高度な手法は、中国人からするとある意味、仰け反る程に驚きだったと思われます。
このような運営面での日本的感覚は、多くの教室で採用されているかもしれません。
入会金とか、普通、中国人は意味すらわかりません。
しかし、こういうものをきちんと請求しないと、生徒の方も運営面に不安を感じるので、請求しないといけません。
ほかにもたくさんあります。
こういうことがふさわしいかどうかは、個別の事情もあるので何とも言えませんが、沖縄は本土の影響をあまり受けておらず、三線はその方向性のために成功しています。
三味線より、よっぽど人口が多いです。
日本の中国文化は、日本に学ばずに沖縄から学んだ方が良かろうと思います。
しかし、経済的成功や世俗的成功(文化庁は沖縄の芸術家をあまり評価しない傾向があるのはなぜだろう)からは、遠くなります。
難しい問題です。
経済面にも注意を向けないと長く続けていくことはできません。
ここを読んでおられる方にも、ブログなど運営されておられる方が少なくないと思いますが、そういう個人サイトは数年で更新がなくなるか閉鎖になるそうです。
収益がなければ、このような資産も消えていくという例です。
広告は嫌われますが、もし広告がないと世界のコンテンツの多くが失われます。
話が大幅に逸れましたので戻しますと、弦堂は今でも経営的に良好で、繰り返し購入して下さる方も多く、2009/6時点で見てみますと、12%の方が訪問回数100回を超えており、66%の方がリピーターです。
想像すらできなかった結果なので、この場で恐縮ですが感謝したいと思います。
しかし、この状況は表面的にはわからないので、経営をよく知っておられる方々から「弦堂は長期計画として教室を開くつもりですか? そうでないと商売にならないでしょう」と言われます。
たぶん、この助言は正しいです。
それで、私は理性的にはこの助言に従うべきだと思っています。
それでも、しないと思います。
多くの方は、絹弦ではなく、スチール弦を使っておられると思います。
それでも、スチール弦についての情報はかつては皆無でした。
しかし、弦堂の情報で全体像を把握し、それ以降、購入者が知識を付けたので、優れた弦が各販売店で購入しやすくなったと思います。
そうであれば、最初に弦堂が各スチール弦を扱えば良かったはずで、何もしなかったので結局利益を他店にもたらしただけで終わっています。
当然、この結果は最初からわかっています。
それでも、自分が納得しなかったものを売らなかったのです。
それと同様に、教室を開くのも自分が興味がないのでしません。
私の二胡の水準が低い問題は、私が教室を開くべきだと考えている方々から見れば関係ないようです。
彼らの意見によれば、至極時間の問題で、問題ですらないなどと言います。
この件は、興味がないので、将来どうかとかわかりませんが、作曲家になら喜んでなりますが、演奏家になるのは可能性はないと思います。
このような個人的な問題を掲載するのは抵抗がありますが、この点は聞かれることがあるので、掲載しておきます。
弦楽器がわからないと、作曲家になるのは難しいので・・。
私が現在、気になっているのは、中国と日本で情報の差があまりにかけ離れている問題です。
たとえば、伝統曲の演奏方法の解説本が幾つもある、というコンテンツを本ガイドの項で掲載したところ、この種の人気がなく、店頭で中古の本みたいに溜まっているこれらの書籍が一気に売り切れました。
日本人が中国に旅行に来て、次々買っていったのではないでしょうか?
私が友人のために買ってやろうと思っていったら、各所で大量の売れ残りがあったはずなのに、急に見つからなくなっていて困りました。
原因はわかりませんが、中国人ではないでしょう。
こういう内容は、先生になりたい方々にとって絶対必要なものです。
それで、私の言っている趣旨を理解して、買いに行って下さった方が多数おられたのなら、掲載の価値があったと思いますので、とてもうれしいです。
しかし、これらの本は、基本的なことしか書いてありません。
多数の他の論文などもあるので、これらをまとめて咀嚼した上で掲載し、日本でも中国と同様、こういう知識が当たり前のようになるように変えていきたいと思っています。
最後に、絹弦について。
中国でも、文化人が演奏する古琴は、今でも絹弦が最高の地位にあります。
京胡は、まだ絹弦は嫌われていますが、一部で使われる気配が数年前から出てきたようで、ある情報によると、内弦を絹、外弦はスチールを使うというのがプロの間で試されているということです。
たぶん、すでに拉きこなして馴染んできた外弦は切れるリスクと隣り合わせで、数時間に及ぶこともある上演では不安があり、かといって、絹弦の音色は魅惑的なので捨てがたく、このような折衷案のようなものが出てきたのかもしれません。
しかし、外弦のスチールは一般的なものではなく、特殊な巻き弦らしいです。
黄金時代の梅蘭芳サウンドなどは、絹弦がないと味わいがまねできないので、私は個人的に折衷案は興味がありませんが、多少は良い方向に行っているのでいいと思っています。
二胡は、どうでしょうか?
私はすべての曲を絹弦で拉いていますが、全く問題ないです。
絹弦は復活する日は来るのでしょうか?